140字の外

140字に収まらないもの置き場です。始まりは天保十二年のシェイクスピア。

浦井メンフィスの詰め合わせ

先日、王家の紋章2021感想ダブルキャスト編を書きました。

王家の紋章2021 - 140字の外

体感的にはむちゃくちゃ長くなってしまったので、「ん、これ最後まで読む人いるんか…………?」と思いながら、まぁ一人でも私の妄想感想を受けとめてくれる方がいれば十分幸せ……という気持ちで書いていたのですが、思った以上に沢山の方が読んでくださったようで、とっても嬉しかったです。ここで言ってもあれなんですが、読んでくださった方、ありがとうございました。

 

さて、ということで前回は作品自体やスタッフ、キャストの皆様へのお礼も込めて公式タグをつけたかったので、プラス多くの方の目に触れてもなるべく問題のないよう、心の中では公式感想として書いていたのですが(というわりには大分自由に書いてましたが)、

今回はもう!ただただ!2021年帝劇を支配した浦井メンフィスの「ここが!!たまらん!!!!!!!むり!好き!!!!」という私の悶えポイントをひたすら書いていく、私の性癖大公開祭りを一人開催します。2021年の浦井メンフィスの記憶を上書きしたくなくて、一時的にまた2017版王家DVDを封印しているので、記憶がまだ新鮮なうちに浦井メンフィスへの愛を叫ぼうと思います。

ちなみにすごいどうでもいいんですが、私はふだん浦井さんのことを浦井さんとお呼びしているので、浦井メンフィス呼称最大手「けんフィス」がなかなか上手く言えません(多分数回しか言ったことない)。「そっかうらいさんって、けんじさんって言うんだった……(照)」という突然の少女心が入ってきてしまうので、今まで浦井メンフィス、もしくは勝手にうらメンフィスとかいう造語を生み出しTwitterではしのいできましたが、今回はもう、浦井メンフィスのことしか書かないので、以下出てくるメンフィス=浦井メンフィスだと思って読んでいただければと思います。

それでは、春のパン祭りならぬ秋の浦井メンフィス祭り、スタートです!!!!!

 

 

さて、私はメンフィスを生で見たのは今回が初めてになるので、はじめてのメンフィス様謁見の衝撃はこちらにも書きましたが

王家の紋章① - 140字の外

 

my初日、なんか予想以上にメンフィスの女にされて帰ってきました。というか1幕が終わった時点で既に「メンフィス様……(うっとり)」と即位式後のミタムン状態。落とされるの早くない?

二階席なのになんか……何なのこれは……?ファラオパワーなの……?!?と驚きながらずっと凝視していました。メンフィス本体はDVD見た時にはそこまでぶっ刺さってなかったはず、だってそもそも私は本来俺様キャラはそこまで刺さらないので耐性はあるはずなのに、えっなぜ、なぜこんなことに……?と震えていた王家前半戦。

 

そんなわけで、そこまで刺さるはずじゃなかった私を秒で落としてきたメンフィス、何か恐ろしい魔力を放っているに違いない。帝劇にいる全ての女を自分のものにしていくスタイル浦井メンフィス。そんな彼の一体どこがそんなにやばいのか、ひたすら考えて(騒いで)いきたいと思います。

 

 

さて、まずは浦井メンフィス2021、個人的ハイライトを箇条書きでお届けします。

※尚、私は今回が初謁見のため、初演再演と比較してここが良い!というよりは、2021年帝劇に存在していた浦井メンフィスを見て悶えた点を書き散らしていきます。過去版でもやってたのかは分からないけど、とにかく今回見てきたメンフィスのここがやべぇ!選手権になります。はい、スタート!!

 

体格が天才💮

キャロルを見下ろす高い背丈、マント越しでも分かるがっしりした肩と背中、逞しく太い腕、キャロルの首など簡単に締めてしまいそうな男らしい大きな手、そしてみなの視線を奪ってゆく魅惑の太腿………(太字にすな)。そう、どこを取っても天才。強き絶対的な王として説得力のある身体性、そしてキャロルやアイシスとの体格差……たまらなくよい。天才。キャロルの頬に手を添えた時の手の大きさに飽きずに毎回「アッ手がおおきい…好き………」となる。

キャロルの後ろで絡む姉弟

みんなに囲まれるキャロルを後ろでアイシスと二人で見てるあの場面、アイシスとの絡みがもう…もう……。基本アイシスをたらし込んでるメンフィスには「こら!!!また!!」ってなるんだけど、あそこはアイシス姉上も大分仕掛けてくるのでなんかもうどっちもあかん。メンフィスの髪を手で掬うアイシス、そしてその手を捕まえて触り返すメンフィス、双方非常にけしからん。何ですかあの色気垂れ流し姉弟は、風紀委員に怒られますよ!!しかもここのメンフィス、基本ノールックで弄んでいる(視線はキャロル)ところが手練れ感しかない。大して意識を向けずに、何なら他の女に意識を向けながら横にいる女を弄べる男、浦井メンフィス………恐ろしい男………

戦闘モードの目のギラつき

イズミルと戦ってる時のメンフィスの表情、目がギラッとした戦闘モードになるんですよね。私はこれから戦に向かう臨戦モードの触ったら火傷しそうな雄々しい浦井さんが大好きなんですが、絶賛決闘中!な浦井さんもやはり最高に好きだなと思いました。体温50度ぐらいありそう。たまに見せるアドレナリン大放出してそうなちょっとハイな表情が最高に好きです。叶うことならあの決闘シーンのメンフィスの表情だけ撮り続けた映像を脳内に保存しておきたいです。あそこ見る場所多すぎてそればっかり追ってられないのが悔しい。

ジェントルマンメンフィス@階段

婚儀の場面で上から階段で降りてくる時、ずっとキャロルの足元を気にして見てあげながら降りてる優メンフィス。もちろんキャロルが大好きで心配性な、転ばないように見守る優しい男に大成長したメンフィスとしても取れるんだけど、ちょっと中の人を勝手に感じてしまって好きです。

・男も落としにいく人たらしファラオ

「ファラオとして」の人で作られた椅子に座るメンフィス、椅子の人のお顔を撫でたりぽんってしたりするじゃないですか、しかもすっごい自然に。あそこにうらいメンフィスの人たらし感が詰まってる。あと、ウナスにもよくボディタッチ(言い方)しますよね、蠍に刺されたときとかヒッタイトに潜り込んだ後とか。メンフィス、何の気もなしにああいうことを男女問わずさらっとするので、その度ファンが多分爆増しているに違いない。Twitterでも書いたけど絶対兵士達の中でファラオファンクラブあると思う。あの人間椅子のところの何ていうんですかね……人の上に何の躊躇いもなく座るすんごい偉そうな感じと自分の臣下をかわいがってる感じが混ざった絶妙な人たらし少年王感がめちゃくちゃすきです。すきです。

首を傾けて避けるメンフィス

戦闘中に、相手の剣を避けるときにヒュッと首を高速で傾けるメンフィスが好きです。後ついでに言うと、カテコの去り際にお手振りするバージョンと首を左側にちょっとひょいって傾けて去っていくバージョン(その後もまた出てくる場合にやるやつ)があったと思うですけど、その首傾けも好きです。首傾けってなんだ。あれに名前をつけたい。何か次第にはまってしまうあれ。

拷問中にキャロルが来た時の慌てぶり

地下牢から出てきて、拷問の場を見たキャロルに「やめて!」って言われたあの瞬間のメンフィスの、「キャロル!」の声に少しだけ焦りが混ざる感じが非常に好きです。いや、これ回によるかもしれないんですが、海宝メンフィスの「キャロル!」は純粋に(なぜお前がここに?)という感じがするんですが、浦井メンフィスの「キャロル!」はちょっと(うわまずい、キャロルに見られた)(何でよりによって今きた…?!)感が若干入っているというか。そのあとすぐ片手あげて拷問やめさせるあたりも含め、キャロルにそういう暴力的、残虐な自分の姿を見せたくない(前に一回怒られてるので)という心理が少し生まれているのかなぁとか勝手に想像してちょっときゅんとしてしまう。かわいい。いや勝手にときめいといて違ったらごめんねメンフィス。

花嫁キャロルにぞっこんなメンフィス様

婚儀の場面で歌われる「抱き続けて」、最初の歌い出しはキャロルから始まると思うんですが、ここのメンフィス様、幸せそうに自分の隣で歌うキャロルのことをほんっっとにめちゃくちゃ愛おしそうに見つめてるんですよね。本当にキャロル以外見えてない感じ。微笑んでるとかじゃなくて歯見せてにこにこしてましたからね……かわいいよ……大好きなんだね………

闇属性メンフィス

「ただ願うのは」でイズミルが一人で歌っているあの場面、下手からぬっ…と現れるメンフィスが最高に怖くて好きです。あそこのメンフィス、現れた瞬間から地の底から出てきたんか…というぐらい静かに殺気立っていて、歌い始めた瞬間ぐわっとメンフィスの低い声が迫ってくる感じがある。私がイズミルなら怖くてダッシュで逃げます(※イズミルには聞こえていません)。メンフィスって怒る時は基本100℃までガッと感情が昂るような怒り方をする人だと思うんですが、あそこのメンフィスは低温で怒っている感じがする。何というかものすごい速度で進んでいく闇を相手に向けて放って広げて、あっという間に相手の周りを取り囲んでしまうような、すごい闇属性の強い恐ろしさがあるんですよね(急にファンタジー厨二表現になってしまった)。

キャロルを取り戻す、キャロルを危険な目に合わせる奴は断じて許さない、地の果てまで追いかけてやる……という念で相手を殺せそうな真っ黒な恐ろしさのあるメンフィス。あの瞬間それを向けられてるのはイズミルなのだけれど、歌はこっちに向かって迫ってくるので毎回ヒェェ…!ってなる。メンフィスの権力的な強さや残虐性、高圧的な態度、の方面ではない、静かな恐ろしさが垣間見える場面。

 

・1幕最後の美しさ

これはメンフィスというよりは演出的な話が大きいと思いますが、めちゃくちゃ印象に残っている部分なのでがっつり書きます。

キャロルが現代へと戻り、メンフィスが上で手を伸ばすあの1幕のラストシーン、本当に絵画のように美しいんですよね………あの風景を一生目に保存しておきたい。再演はDVDでしか観ていないですが、再再演の今回「うわ、絶対これはこっちの方が好きだ…………」と一番感じた部分かもしれない。現代に戻り気を失っているキャロル、それを見つけ支えるライアン兄さん、どこかへ消えてしまったキャロルへと手を伸ばすメンフィス、そしてそれを囲む周りのすべてが、本当にバランス良く配置されているというか、均整の取れた一枚の絵のように美しいんですよね。毎度見入ってしまう。一度しか見ていないので記憶が曖昧ですが、海宝メンフィスはあそこで手を伸ばしていなかったような気がするので、あそこで手を伸ばすのは浦井メンフィスオリジナルなんだろうか。

あの高い位置から空へと手を伸ばすメンフィス、表情自体は髪に隠れてあまりよく見えないことに加え、マントに身を包み、長く伸びた手だけが見えるメンフィスのシルエットに絵画のような完璧な美しさがあって、あの瞬間すごい遠い存在に感じるんですよね。それこそ、「絵の中の人」みたいな距離を感じてしまう。その前までは立体感を持ってそこに存在していたメンフィスが、あそこで急に遠い人になってしまう。でも本当はそれが本来のメンフィスとキャロルの距離感なんですよね。古代のエジプトのファラオ、本来なら交わるはずのない遠い昔の、異国の王。キャロルが現代へ戻った瞬間、メンフィスは元の、歴史書の中にしか存在しない遠い古代の王に戻ってしまう。それは観客にとっても同じで、メンフィスが遠い「絵画の中の人」のような存在になってしまう、視覚的にそれを感じさせられる、あの美しい1幕ラストが私は大好きです。

 

 

さて、箇条書きでここまでひたすら個人的メンフィスぶっ刺さりポイントを挙げてきました。ちょっとまだまだ挙げ足りませんがキリがない気がしてきたので、以下メンフィス推しポイントベスト3を考えていきたいと思います。

ここの場面が好き!というよりは浦井メンフィス様のこういうところがたまらんよなぁの個人的総まとめランキングです。つまるところ浦井メンフィスのここがすんごい!です(拝借)。

 

 

第3位

圧倒的ファラオ

まずはこれ。先日の感想ブログにも書いたんですが、最初の即位式のあの瞬間から、両手を上げて拝みたくなるほどのファラオパワーがある。メンフィスの圧倒的威光を最初から見せつけられるあの場面。見れば見るほどメンフィスの虜になるというかファラオパワーに呑まれるというか、完全に心がエジプトの民かつミタムン王女になります。

そう、結局ここまで書く間に、1回再演DVDを見直してしまったのですが、2017版の方がより「少年王」の「少年」感が強めかなという気がしていて、今回のメンフィスは「王」部分が強く出ていて、ファラオとしての貫禄がより強く感じられるメンフィスだったのかなと思いました。立っているだけで、座っているだけで、歩いているだけで、とにかくファラオ。序盤のメンフィスソロの「今日のわたしに」では歌い始める前の自分の国や民、これからの王としての日々に想いを馳せるような表情がすごく印象に残るし、「ファラオとして」では、地上における神=王としての確固たる自信を持つ、威厳に満ちた王がそこにいた。この二曲、どちらも王としてのメンフィスの顔が見えてとても好きです。後半は基本キャロルキャロルしてるので(それも可愛いですが)、前半のファラオみの強いメンフィスはやはり格好良いというか、有無を言わさず周りを従わせる力を持っている人なんだなと、見ていて自ずと「見上げている」感覚になるなと思いました。どこにいても何をしていても常に人の上に存在するファラオでした。

 

 

第2位

女の扱いがプロ

はい、これはもう、何度も何度も騒いできたことになりますが、2021年浦井メンフィス、女の扱いに慣れすぎていてもはや少女漫画でいう俺様キャラ<<<モテ女たらしキャラなのではないかと思えてくるほどに、女慣れがすごい。常に女を周りに侍らせ、もう女に慣れに慣れ切って退屈して女を落とすゲームとか始める男キャラいるじゃないですか、少女漫画に。で、本当は恋に落ちたことは一度ないのだけど、自分に靡かない主人公にころっと落ちて実はそれが初恋だったと。まさに物語序盤に「ふぅん、おもしれー女」とか言う男ですね(少女漫画語りが長い)。とはいえキャラの明確な区分けなんてできないので、2021版浦井メンフィスはその俺様+女慣れの究極みたいなのが混ざり合った感じなのかなと思います。

もちろんメンフィス、元々台詞として「よしよし可愛いやつ、今宵は私の相手をせよ」みたいなこと言うぐらいなので、女=自分の意のままになる存在と思っている人ではあると思うんですが、それはどちらかというと大国エジプトのファラオである自分に逆らう者はいない、という認識のイメージがあるので、対・女、というより男女問わずな感じがしていたんですよね。ところがどっこい、パワーアップ女たらし浦井メンフィス2021は、女=どうすれば喜び、どうすれば自分に落ちるか知っている生物と認識している感が強いんですよね。もちろん王である自分に基本逆らう訳がないので、思い通りになるのは当たり前なんだろうけど、その上でどう自分に惚れさせるかも熟知していそうな手練れ感と言いますか…………書いててあらためて思ったけど本当にけしからん生物じゃん……そりゃミタムンも秒殺だわ…………。

例えばですが、2017版DVDを見ると、ミタムンにこの国で生涯を過ごされるか?と声をかける時にミタムンの両手に自分の両手を添えるんですね。ちょっと純愛っぽい(けど実際のところは一ミリもその気はないのでそれはそれで罪深い気はしますが)。それがパワーアップ女たらしメンフィス2021の手にかかると、片手で腰を引き寄せ片手では顎を掬い、そして耳元で例の台詞を囁く、完全なるホールド状態。しかも距離が近い近い。何か完全に「女はこれをやると自分に落ちる」のパターンを熟知している男に見えるんですよね……。

キャロルに対しても、プイプイ合戦とかで子どもらしさも見えるんですが、最初の方は特に若干余裕があるように見える。何の余裕かというと「過去数々の女を落としてきた自信」からくる余裕というか、例えばキャロルにビンタされた時に「……??」と何が起きたか分からない顔をした後、THE「おもしれー女」の顔をするんですよね。海宝メンフィスがキャロルのことを最初新種の虫か何かだと思っていそう(完全なる好奇心、新たな生物を見つけた!という興味)なのに対して、浦井メンフィスは新しい綺麗な宝石(=女)を見つけた、みたいな感じ。女(≧生物)としての興味と綺麗で珍しい女への所有欲が最初の段階では強いような気がする。どちらもスタートは人ではなくモノとしての興味であることには変わりないのだけど(地上における神ファラオであるメンフィスは基本的に自分以外の人間=自分の思い通りになるモノだと思っていると思うので)、その興味の中身が結構違うよなぁと思います。で、キャロルを「自分を敬わず従わない初めての生物」と捉えているところは海宝メンフィスと浦井メンフィスどちらにも共通する部分だと思うんですが、そこに浦井メンフィスは「自分に落ちない初めての女」感が加わるんですよね。なので、あの「おもしれー女」顔がめちゃくちゃしっくりくる。

そして極め付けは、2021年罪深きメンフィスランキング1位を掻っ攫ったイシオリでアイシスに指輪をはめるメンフィス。

以前も貼りましたが、ここの時点でのメンフィスは自分の妃に誰が来ようがどうでも良いけど、姉上はやたら自分を好いてくるな…というぐらいの感じだと思うんですよね。別に姉として慕ってはいるが恋愛感情はないし妃になってもならなくてもいいけど、神々に倣った方が良いのであればまあそれでもいっか、ぐらいの。それで、まぁ姉上は自分に好意があるようだし、とりあえず他の女達と同様飾り物でもあげといたら喜ぶか……みたいな感じで、すごい何ともないような顔して小慣れた手つきで指輪をはめる。うん、悪い男!!!!!!!!!!!本当に悪い男です。「ねぇちょっとアイシス様の顔を見て??すごい嬉しそうな女の子の顔をしてるアイシス様を見て????」と軽く殴りたくなりますが、多分本当に「ほら嬉しいでしょ?姉上」みたいなノリで渡してるんですよねメンフィス。悪意も好意もゼロ、完全なる思いつき。悪い男です。姉上はそのあとずっと大事にするのにその指輪………

ただ、前半それだけ余裕顔で女をたらしこんでいたメンフィスが、キャロルを好きになってからはめちゃくちゃ振り回されるのが最高に良いですよね。最初こそ「おもしれー女…」の顔してたけど、どんどん余裕がなくなってプイプイ合戦したり、思わず抱きしめちゃって平静を装ったり(ここの台詞の言い方分かりやすく変わってる!ってなりました。我に帰るタイミングが早くて、男としての自分の言葉を王としての言葉に瞬時に変えてて「お〜〜メンフィス頑張ってる!」ってなった。でもイムホテップ様とミヌーエ将軍にはどうせバレバレなところがいい)と、ファラオとしての顔でも、女慣れしたメンフィスとしての顔でもなく、初めて恋しちゃった少年王の顔が出てくるのがもう、最高に良いですよね(2回目)。今まで万能だった自分の権力を持ってしても思い通りにはならない女に振り回されて余裕を保ってられなくなるメンフィス、非常に好きです。ということで、だんだんそのまま第一位に繋がりそうになってきたので次に行きたいと思います。

 

 

第1位

弱りメンフィス

今回私がメンフィスにやられた最大にして予想外の敗因。まずは当時のツイートを振り返ってみます。

一体この日(8/21)に何が起きたんだ……というぐらいにやられている。

それもそのはず、8/21マチネといえば、前回も書きましたが浦井メンフィス×木下キャロル5連続の最終日、あの二人がめちゃくちゃ良かった回なんですよね。そう、あの日の二人はすごかった。愛がそこにあった。そう、そして、あの日の弱りメンフィスの破壊力は異常だったんです………もう致し方ない……。キャロルが古代に戻ってきてからのメンフィスの、もうこの娘なしにはとても生きていけない感が本当に強かったあの日。これまで数多の女を手玉に取ってきただろう浦井メンフィスが、エジプトにおいて絶対的な強さを持つ存在であるメンフィスが、ただ一人の女に夢中になり、その存在を失ったら途端に壊れてしまいそうな脆さを見せるわけです。もうね、前半がオラってればオラってるほど後半の弱りメンフィスが刺さるんですよ…………………。あんなに余裕そうに女を掌でコロコロ転がし弄んでいたメンフィス、何の気もなしにミタムンの腰を引き寄せ耳元で甘い声で囁き、慣れた手つきでアイシスの手を触り流し目を向け終いには指輪まではめていたあの女たらしメンフィスが、余裕など一ミリもない状態で奪われたキャロルを求めている………まるでお前と私は比翼の鳥、連理の枝とでも言いそうな様子で(そんな台詞はありません)すっかりキャロルなしでは生きていけなくなっているメンフィス………うッッ(発作)

(………だめですね、1番刺さったところは1番理性をなくしているところなので、しょうもない言葉と気持ち悪さしか出てこない。でもそのしょうもないことを書きたいんだ私は……書くんだ………)

さて、そんな弱りメンフィスを1番堪能できる歌としては、やはり「揺れる心」ですよね。1度目のこの曲のバックではセチが素晴らしい踊りを見せてくれるので本当に本当にちゃんと見たいといつも思っているのですが、手前にいる(大好物の)弱りメンフィスが私にとってはそれはもうめちゃくちゃ高い壁になるんですよね……………何で人間の目は二つしかないんだろうとこの場面は毎回心の底から思っていた。歌詞とリンクする踊りをセチが踊っているので、間違いなくどちらも見ながら追っていくのが正解だとは分かるんです。頭では。そしてここの場面、セチの踊りはメンフィスの想いの表れとも取れるけれど、そこ一方セチのキャロルへの想いはセチのだけのものだなぁとも思うんですよね。あの踊りはセチの想いそのものであり、メンフィスのものとして受け取ってしまうのはセチに悪い気がしてしまう。ので、セチのダンスをセチのものとしても受け取りたい。………と頭では考えて、考えているんですけど!弱りメンフィスに非常に弱い私の心に従うかのように私の目はメンフィスの表情をつい多めに追ってしまうんですよね……そして残るセチへの罪悪感……ごめんセチ、私の心が弱りメンフィスに弱すぎるせいで……………ごめんねセチ…………(誰)

 

この歌の「私はただの抜け殻」という歌詞そのまま、キャロルを奪われた後のメンフィスはキャロルのことしか頭になくて、やっと見つけたキャロルに突き飛ばされ2回目の揺れる心を歌うメンフィスなんてもう本当に抜け殻なんですよね。1回目の揺れる心を歌っている時は「普段は強くて偉大な格好いいファラオなのに、キャロルのこととなるともう、もう、僕は…………」ぐらいなんですが、リプライズになるともう「キャロル、キャロル……(ぐすん)えっなんで助けに来たのに……腕の中にいないの……何で助けられなかったの……僕もうむり……」ぐらいの弱り具合に見える(キャラ盛大に崩壊させてごめんなさいメンフィス様)。

あれだけ強くて自信満々で女たらしで怖いもの知らず(そりゃあ地上における神になる者として育てられてきたらそうなる)だったメンフィスがあんなにも動揺して、もしキャロルを失ったらという不安に囚われる。幼い頃から命を狙われ続けてきたメンフィス、自分の命を奪われる恐怖は常に感じながら生きてきたかもしれないけれど、誰かを失うかもしれない恐怖を感じたのは初めてだったんじゃないのかなあと思うんですよね。絶対的な強さを持っていたメンフィスが、キャロルに出逢ったことで弱くなり、脆くなる。自国において逆らう者などおらず、意のままに振る舞い、全てを思い通りに動かすことができていたメンフィスが、自らの心すら思い通りに動かせず、途方もない不安に苛まれる。ただその一方で、今まで自分のためや国のためだけに独善的に振る舞い、戦っていたメンフィスは、誰かのために戦うこと、無事を祈ること、誰かを守りたい、生きていて欲しいと願う感情を知る。

そして、それは今まで自分が姉に向けられていた感情であると、メンフィスはそこで初めて気付くんじゃないかなあと。二幕でメンフィスが静かにアイシスに向けているあの苦しげな視線は、キャロルを想う気持ちを知ったからこそ生まれるものだと思うんですよね。姉が自分に向けていた視線の意味を、告げられていた想いの意味をそこでようやく知る。けれど、キャロルを愛している自分はそれに応えることはできないし、想い人に応えてもらえないことがどういうことなのかも理解できる。何の気もなしに指輪を与えていたクソたらしメンフィスはもうそこにはいないんですよね……メンフィスお前、成長したな………(母心)という気持ちになります。

話を戻しまして、「揺れる心」という名前の通り、あの歌のメンフィスはすごく感情豊かで、苦しい、悔しい、不安、愛おしい、心配、怖い、逢いたい、淋しい、恐らくキャロルと出逢って初めてメンフィスの中に生まれただろう感情や想いが歌の中に詰まっていて、それが歌に乗って客席までぶわっと伝わってくる。キャロルと出逢う前のメンフィスソングも雄々しくて偉そうで強強なメンフィス様を味わえるので大好きなんですが、一番聴き入ってしまうのはやはり揺れる心かなと思います。浦井さんの歌、本当に台詞がそのまま歌になっているというか、いやもはやそれ以上で、その人の発した言葉がたまたま歌という形をしていたんだなと思えてくるというか、そしてその形だからこそより一層気持ちがそこに鮮明に乗るんだなというか、まあすみません上手く言い表せないんですが、とにかく本当にそのまんま感情がこちらの心まで飛んで入ってくるのがすごいなぁ、とあらためて思った歌でした、揺れる心。何度でも聴きたくなってしまう。

 

と、いうことで前半のオラメンフィス様には平伏し媚び諂いたくなるのだけど、後半の弱りメンフィスの方が訳もわからずめちゃくちゃ癖に刺さるという、想定外の落ち方をしました、2021年浦井メンフィス。ちなみに(まだ話すんかい)、前半のオラメンフィスには「ハァ……メンフィス様……」ってな感じで平伏し両手を掲げたくなるんですけど、といいつつもどこかで「うん、少年王だね、幼くてかわいいね………」みたいな母心と「この、ハイパー女たらし………」みたいな気持ちが共存しながらも結局「メンフィス様……」ってなるんですね。でも、後半の弱りメンフィスには理由なしに「えっっっ………ちょっと……好き……………えっ…………」みたいになるので未だに結局何がこんなにも刺さるのか解明されていません。端的に言えばギャップなんでしょうけど、それが全てかというと全然足りてないけどもう分かりません。弱りメンフィスは私の理性を持っていくので………なんか、ギュウウゥンってなるんだよ……心臓を鷲掴んでくるんだよ……しか言えません…こんなに書いたのに……。

 

 

さて、なんとか第一位の発表まで辿りつきました。

書き始めた頃にはまだ秋も始まったばかりだったのに、今はもうすっかり冬になってしまった。王家の紋章が無事全ての公演を完走し終わってから早1ヶ月と少し。案の定書き始めたら長くなりすぎて、しめるのが面倒くさくなって(あるある)、こんな時期まできてしまった。あまりに時間が経ってしまったので永久途中下書き保存版にしようかと思ったんですが、久しぶりに開いて見たらやっぱり閉じたくなったので、最後まで書いてみています。

前回の感想ブログを書いたときには東京公演の千秋楽だったので、あの頃は本当に最後まで完走できるのかドキドキだったんですよね。簡単に願うことすらためらってしまうというか、軽々しく「無事完走できますように!」とか言えないような、本当に割と大変な時期だったので。それでも、東京で観る予定だった公演をありがたいことに全て観られた私は、どうか博多で観る予定の方々が同じように、楽しみにしていた王家の紋章を楽しんで観られますように、と願ってしまったし、楽しい楽しいミュージカル王家の紋章を作りあげてくださったキャスト・スタッフの皆さんがどうか無事に、最後まで駆け抜けられますようにと祈ってしまった。東京から王家が去った9月は寂しくて寂しくて本当にロスがすごかったけれど、ゆるやかに自分の日常に戻りながらも、博多の地ではまた王家が始まって、進んで行っているんだなぁとキャストの方々のオフショや博多で観られた方のレポを合間合間に楽しんだりして、沢山余韻に浸れた1ヶ月だったなぁと思う。

そして9月末、王家の紋章は見事全公演を完走した。本当に、すごいなと思った。東京で最後に王家を観た時、私は博多には行けないので、最後のカテコでは出発する船を見送るみたいな気持ちで拍手をしていた。どうか無事に博多まで辿り着きますように。どうか博多でも多くの人達が王家の紋章を楽しめますように。そしてこの王家カンパニーの方々が博多に届けられるまでも、博多に到着したあとも、元気に過ごせますように。王家後半期間、いつの間にかすっかりカンパニー箱推し状態になっていたので、あの日は本当に遠くに赴く子どもを送り出すオカンみたいな気持ちになっていた。初めての感覚だったかもしれない。どうか気をつけて……!という気持ちでいっぱいだった。

あの時期に、あれだけの人を抱えて最後まで走り抜けられたのは、本当に奇跡なんだろうなと思う。それはもちろん徹底した対策をキャストやスタッフの方々が行ってくれたからこそだろうし、あとはやっぱり運も大きいのだろうなと思う。人の手の届くところ、届かないところ、いろんな力が重なって、王家の紋章2021が最後の公演まで辿り着いて、博多カーテンコールの映像を観た時、本当に嬉しくて仕方がなかった。カテコの音楽を聴いて自分の王家月間がぶわっと蘇って「あぁ、楽しかったなぁ」「幸せだったなぁ」「王家カンパニー、大好きだなぁ」とあらためて思って、そんな大好きな人達が作り上げた王家の紋章2021が最後まで走り切ったのだなと思ったら本当に嬉しくて、でも、今度こそ終わってしまうんだなぁと思ったら淋しくて、もう感情過多で涙腺が飛んでいっていた。終わってしまう淋しさと、ちゃんと「終われた」んだという安心感。それは好きだと思って何度も観た作品には毎回思うことではあるけれど、あの時期は本当にその有り難さが身に染みていて、本当に、心の底からほっとした。淋しいけど、何というか、淋しがれることにもほっとした。淋しく思えて良かった、と思った。

 

そして、2021年の浦井メンフィスを見られたこと、本当に幸せだなぁと思います。私は常々、過去作の浦井さんの断片を見るたびに、「なぜあと数年早く好きになっておかなかったんだ…………」と思うのですが、それでも、2021年の浦井メンフィスに間に合って良かった。進化してパワーアップした2021年のメンフィスを目撃できて良かった。推しとの出逢いはタイミング、私のタイミングが2021のメンフィスに交わるときで良かったなぁ、と思います。まさか作品とは別にメンフィスについて、こんな長々とブログを書くことになるとは8月の頭にはまるで思ってなかった。こんなことになれて良かったです。万事良好。間に合ってくれてありがとう。私の2021年の夏は浦井メンフィスに謁見できた最高の夏になりました。

 

そんなわけで、拝啓 浦井メンフィス様。あらためまして、今年の夏は私に沢山の幸せをくれてありがとうございました。